木の存在への感受性を高め、プランニングする力につなげる

水上聡子(アルマス・バイオコスモス研究所)

*実施日時:2016年5月11日(水)9:30-16:30(受付9:15)
*会  場:アルマス・バイオコスモス研究所(福井県坂井市)

 今回の研修の目標は、参加の基盤づくりと起承転結の前半で「木の存在への感受性を高める」こと、後半で、自分達で環境や土地利用をプランニングする力(シティズンシップ力)につなげることとしました。プランニングは形にすることでシティズンシップ力を発揮できる方法であり、その前提に、知識だけでなく、環境への感受性が重要との考えから、この組み合わせにしてみました。そして、定員を5名に限定し、1人1人が自分でプログラムを考え、その改善点を皆でじっくりと出し合えるように工夫しました。実際、1人1人のプログラミングや質疑の時間がとれ、特定のテーマについての話し合いもできました。
 また、研修の翌日、地元の小学1~6年生20数名を連れて登山し、研修で考えたアクティビティを早速実行された方がいて、いきいきした活動の様子がフェイスブックにアップされていました。

【当日のプログラム】
 当日のプログラム(計6時間)は以下です。

1.参加の基盤づくり(40分)9:30-10:10
・場のオーナーシップ、参加のルールづくり
・アイスブレイク(わたしの愛する木、松ぼっくりのネーミング、PLTファシリテーターになることで期待すること)
・PLTの歴史や特徴について ※パンフレットを活用し、手元にあった原書の初版なども紹介
・ガイドバイク(テキストのハイキング)

~休憩(10分)~ 10:10-10:20

2.流れのあるプログラムの体験(120分)10:20-12:20
・起:詩人の木(No.5)、木と人の関わりを想像しよう(オリジナル/屋外 ※天候と時間の関係で中止)
・承:わたしたちみんな木が必要(No.13)
・転:木に3回乾杯しよう(No.30)
・結:わたしたちで土地利用を計画しよう(No.56)

~昼休み(60分)~ 12:20-13:20

3.参加者によるプログラムづくり(150分)13:20-16:00
・起承転結にもとづくプログラミング、ストーリーライン(20分)
・プレゼンテーション(25分×5人 ※25分/人には他者からのフィードバック時間を含む)

~2人目のプレゼン後に休憩(10分)~

4.行動計画づくりとエンディング(30分)16:00-16:30
・今後の行動(どんな場面で、どのように)
・ふりかえり(参加者アンケート、意見交換)
・認定証、修了証(オリジナル)授与

 午前中は、都市計画、地域計画の仕事をしてきた経緯をふまえて、人が育つ都市空間や住環境、保育や教育の環境として、木の存在がどのように大切か、そして、それを提案する力を子どもたちに伝えていけるファシリテーションの1つとして、流れのあるプログラムを体験していただきました。




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 午後からの参加者5名によるプログラミングは、PLTの分厚いテキストを初めて手にしたにもかかわらず、それぞれの専門性(医学、環境教育、子育て支援、地球温暖化防止など)と人間味が生きた、意味深い内容のものばかりで、非常に充実したプレゼンテーションでした。

 当日は途中から雨もあがり、屋外活動ができればと考えましたが、時間の関係で無理せず断念しました。(いつも欲張りなプログラムを設定しがちなので、今回は急いで多くを実施するより、話し合いを深めることを重視しました。)外に出て木と生活との関わりを想像するアクティビティ(オリジナル)ができず残念でしたが、次の機会にぜひと考えています。

【ふりかえりから】

PLTニュースで紹介してくださった新堀春輔さん(地球・環境共育事務所Earth-PAL代表)の「ORIDのふりかえり」項目を参考に後日メールにてふりかえりを行い、以下のようなフィードバックをいただきました。
(※新堀さんのふりかえりについては、ERICメールマガジン2016年4月10日号を参照してください。)
http://archives.mag2.com/0000004947/20160410100000000.html

1.Objective Questions(事実発問)
■印象深いできごと、発言などありましたか。(それはどんなことですか。)
・参加のルールのところで、「思ったら言う」という発言が出ました。その際に、それをすることで何が得られるのかという問いが返され、どこに焦点を当てたルールなのかということが明確になりました。
・「自分らしさを大切に」という発言が出、3つ目に何があるとそれが出来るようになるのかという問いが返されたこと。3つ目は「自制心」「相手の話を聴く」でした。
・「場のオーナーシップ」が緊張もほぐれ良いなと思いました。
・準備されたお部屋の雰囲気が素敵でした。スイスで暮らした時の雰囲気に似ていました。お天気の関係もあったのかもしれませんが、少し薄暗い方が思索を深めるのかな?と思いました。
(スイスで借りたお家は、電球は40Wが主体で夜はそんなに明るくなく、蝋燭も日常の生活に根付いてました。)
窓からお庭が見ることができるのも、最初のお茶が美味しかったのも印象深いです。話をする時、学ぶ時には、場の準備も大切と思いました。
・ルールとして、
「思ったら言う」
ということが出たのが驚きでした。
自分としては、いつも「思ったことをすぐ言い過ぎる。気をつけなくては!」と感じていて、「思っても言わないで「聞く」ということを大事することを学びたいと思っていましたので…

2.Reflective Questions(感情発問)
■ワークショップに参加しているとき、どんな気持ちでしたか。
・ワクワクしました。
・参加者としてと自分がファシリテーターだったらという視点で、参加していました。
・問いや場の進行について学ぶことがたくさんあり楽しかったです。
・参加を楽しみにしていたので、とてもワクワクしてました。対等な関係で話しあえるというのが心地よかったです。(仕事柄、「先生」と呼ばれて場にいることが多いので…)

■驚いたこと、難しかったこと、楽しかったことはなんですか。
・環境教育のためのものだと思っていたのですが、実際参加者がプログラミングしたものはそれに囚われることなく、自尊感情や子育てに焦点をあてたものもあり、こういう使い方もあるのかと驚きました。
・難しかったことは、実際のプログラミングで、参加者である子どもたちがどのようなことを感じ取り、どう考えるのかについて、自分のプログラミング、ストーリーラインがとても狭く感じられ、創造性をもつことが難しかったです。
・楽しかったことは難しいながらも考えることが楽しかったです。また、ほかの参加者のプログラミングがとても興味深かったことです。
・ファシリテーション講座に興味を持ったことから、○○○の会や水上さんとお知り合いになれたのですが、お知り合いになれてよかった!と改めて感じてました。
・環境のこと自体というより、ファシリテーターということに興味があって、(それでもいいとのことでしたので)参加したので、自分で計画する時が、難しかったです。
・楽しかったのは、なんだか、みなさんの力を借りて、計画を作ることができたのが嬉しく、楽しかったです。
・びっくりしたのは、練習ではなく、もうすぐに実現可能な計画とコースを作られた方がおられたことです。
・驚いたことの一つは、木の絵を描くという課題があった事です。
心理の検査にバウムテストという一本の樹木を描いて貰う心理アセスメントがあるのですが、それと通ずるものを感じました。
 昨年度、牧井正人さんという美術の先生、(現在は県の観光営業部文化振興課の主任)が、読売教育賞を受賞されました。その基になったのが、屏風「落葉」の出前授業です。
日本画を見て子供達が鑑賞する授業なのですが、もしかして、この絵の題材が樹木でなかったら、子供達の反応も違ったのかな?とも感じました。絵の中に入っての鑑賞も、勿論、日本画として菱田春草の絵も素晴らしいのですが、題材もよかった のでは?と思いました。

3.Interpretive Questions(解釈発問)
■どのようなアイディアがあなたをひきつけましたか。
・流れのあるプログラミングというのが分かりやすく、また、プログラミングした後に、実際に1つに焦点を絞り、ファシリをやってみるというのが良かったです。頭の中でとやるでは、みんなの意見も聞け、さらに広がるし、イメージも広がるなと思いました。
・以前のファシリテーターの講座でも感じましたが、今まで学んできた、ペアレントトレーニングやペアレントプログラムや認知(行動)療法や、カウンセリングの手法等、いろいろなことに通じることがあるなあ…と思いました。

■今日のワークショップからどんなことを学びましたか。
・想像力が大事で、そのためには普段から自然の中に身を置く、子どもと触れ合うことをしたいなと思いました。
・自分一人でなく、周りとの相手、みんなの大切さも学びました。
・木の絵とポエムを書くアクティビティをしました。一人一人の絵とポエムを見ながら、物の見方や感じ方考え方が違うんだということがわかりました。
木を描いたりポエムをつくることによって、木に思いをはせることができて、自分が木になった疑似体験というか自然の一部のような気がしました。
木を感じられたというか。。感じるっていうのは大切だなと思いました。自然から遠ざかっていると“感じる”ということも希薄になるのかなと思います。
(※水上補足:三番目のフィードバックを出された方の「詩人の木」は、木の一部分の繊細な描写があり、とても特徴的でした。
タイトル「樹」
 詩の内容「皮と皮のすきまから出る樹液、渋み」)

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4.Decisional Questions(決定発問)
■今日のワークショップを終えて、あなたはどんなアクション・変化を起こしますか。
・とりあえず、機会があったら再受講したいです。
・再受講をして、中身の使い方をみなさんのプログラミングから膨らませ、尚且つ、自分の新たなプログラミングを考えたいなと思います。
・使いこなせるように、身近にPLTを身につけたいです。
・すぐに、なんらかの講座等をすることはないだろうと思います。仕事の場で活かせる事を活かしていきたいと思います。

■本日のようなワークショップを誰に経験(参加)してもらいたいですか。
・年少~小学生の子どもたちに参加してもらいたいです。自然に触れ、学び、ともに生きることを感じて成長してほしいと思います。
また、子どもたちだけでなく、時間的に、心的に自然に気を配る時間の乏しい、遊びを忘れている大人達にも経験してほしいなと思いました。
・学校の先生が、こういった手法を知っていただいているといいのになあ…と思います。生活科なんか、こういう形で授業していただけたらいいのになあ!と。

まとめ
■あなたのワークショップ参加の目的に対しての達成度は・・・?
・10段階評価だと5です。残り5は経験することで埋めていきたいと思います。
・参加の満足度は、10です。ただ、実行できるか?という事からは、3ー4かもしれません。

■感想
・日常、自然の中に自分たちがあることが当たり前になりすぎて、敬意、感謝、生きているという感覚が薄れていきがちな現代で、このプログラムは自分だけでない他者、自然との関係性も気づかせてくれるものだと実感できました。
一つ一つワークを読み進め、創造性を付けたいなと思いました。
・今回、参加者が5人だったのはすごく良かったです。
・時間や天候的に削った部分もありましたが、それでも、PLTの目指すもの、中身について知ることが出来ました。また、教本を深めるために受講したいと思います。
・また、参加したい!と思いました。自分の中で、今の仕事が生活の殆どを占めているなあ!と改めて感じました。仕事以外の拡がりを持っていく事も必要だろうなあ…と。
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by pltjapan | 2016-06-05 13:05 | 報告・記録


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